CATNAP STATION🐾夢を使った次元旅行🐈

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夏目たまさぶ石の夢十夜~第一夜の後編~

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チチチチ・・・、鳥の声で眼が覚める。

昨夜は妙に生々しい夢を見たものだ、あの夢は私のものだったのか?それとも・・・と思いながら、家族の朝食の支度にとりかかる。

時間を確認するためにスマホを見るとメールが来ていた。メールボックスを開けると仕事の依頼だった。

今週の週末はのんびり読書をするつもりだったが、予定変更となった。

土曜日に約束の場所へ出かける、依頼者はまだ来ていないようだ。
私は仕事の支度にとりかかる、最初に特別な素材で作られた香炉に香木をひとかけら入れる。ろうそくに火を灯して空間を浄化していく。
グリモアを数冊とそれに見合う石を並べ、サークルを形作る。ワンドで数回空間に図形を描いておく、こうやって場所を整え邪魔が入らないようにしておく。
ここまでやると、場の持つ空気が一変する、あたりは白い靄に包まれて視界がぼやけた状態になる。

準備を一通り済ませると、依頼者と思われる人影がぼんやりとやってきた。

人影が近づくと、それは先日の夢に現れた女にそっくりだった。
何ということだ!
大きな目と長いまつげ、陶器のように白い肌をした若い女性が夢の中から現れたかのように、いま目の前に立っている。


「今日はよろしくお願いします」
(耳障りの良い優しい声まで夢と同じじゃないか!)

彼女は私に向かい深々と頭を下げる。私も頭を下げる。
「要件は先日メールで送った通りです。亡くなった人と話をさせてください・・」
彼女は弱々しい声で語った。

「念のためにお伺いしたいのですが、亡くなった方というのはいったい誰ですか?」

私は彼女に確認をした。
「私の大切な人でした、2週間ほど前にこの世を去りました・・・」

まさかと思ったが、夢の内容が現実とリンクしている。どこまでが夢で、どこまでが現実かわからなくなってくる。
彼女の意識と私の意識が混ざり合って境界が分からなくなり、頭がぼうっとするのを感じた。

「逝くときは、一緒に連れて行ってくれるって約束したのに・・・」
そう語ると、彼女は肩を震わせてむせび泣いた。

私は彼女の記憶や医師が流れ込んでくるのを感じ、体が動かなくなった。激しい感情が波のように押し寄せてくる。
これは悲しみ、孤独、痛み、絶望・・・そして、怒りだ。

彼女は深い悲しみと絶望を感じながら、激しい怒りの炎を抱いている。


私は彼女の感情に流されないように、意識を立て直しながら儀式の準備に入る。
彼女が経験したことは、おそらく夢の内容と同じだと思うが、念のためこれまでの敬意を確認した。


<彼女の話より>


彼女は今から2年ほど前に、ある病気を発症したという。病気のせいで働くこともままならず、闘病生活をしていた。
彼女の病気は現代医学では診断がつかないタイプの病気で、いわゆる難病と呼ばれる種類のものだった。治療法も確立されていない、難しい病気だった。

病気せいで体が思うように動かなくなった彼女は、長い療養生活を強いられるようになる。
手足や体の力が入らず、身の回りのことができなくなっていった。
病による症状は一向に良くなる気配がなく、彼女のこころは日々死の恐怖に脅かされていた。
「どうせ病気で死ぬんだから、苦しい日々を長引かせたくない」
彼女はそう考えるようになった。そこで、死ぬことを考えたという。
そんな時、たまたま同じように死ぬことを考えていた男と知り合った。

二人は全くの初対面だった。
一人で死ぬのが怖いから、海辺の町で待ち合わせをして一緒に死のうと約束をしたのだった。

二人は死ぬことについて話をしているうちに、お互いに惹かれあっていった。男はそのまま彼女の住む町へやってきて、彼女の闘病を助けるようになった。
男の介護のかいあってか、彼女の症状は少しづつ緩解していった。

しかし、女性の体調が改善すると、男は思い出したかのように、自分の本来の目的を果たすために町を去っていった。

 

”人生を終わらせること”が目的の男と女がたまたま出会い、お互いに惹かれあったというのだ。
その後、男は彼女を残して一人でこの世を去っていった。

「どうして彼は私のことを置いていったのか、彼に聞きたい。彼は私のことをどう思っていたのでしょう?」

私は儀式の支度を済ませ、この世を離れた男を呼んでみた。
実はこの男、最初からずっと彼女のそばにいた。

彼女は気が付いていないみたいだけれど、ずっといる。

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姿を失った男は振動でメッセージを伝えてくる。振動のことを波動という人もいれば、エネルギーと呼ぶ人もいる。
量子と呼ぶのか、素粒子と呼ぶのか?何かが振動して伝えてくる。

「今も大切に思っている、だから置いていった・・・」
振動を言葉にして女性に伝えた。

すると彼女の顔がみるみる青ざめ、大きな瞳に涙を浮かべながら大きな声で叫んだ。

「嘘つき!!ずっと私のことを憎んでいたのを知っているわ。
私を残して一人で死ねないから、ずっと待たされて憎んでいたのでしょう!!
だから、私が嫌いになって呪っていたのでしょ?」

女性は美しい顔をゆがめて絶叫した。
激しい怒りの振動が空気をびりびりと振動させる。

男は悲しそうな色に変化した、男は泣いていた。目には見えないけれど泣いていた。
悲しそうな振動を発してサインを送ってくる。

「心から、本当にここから大切に思っている。
愛しているから、生きていてほしいと思った。2年間楽しかった。
君はとても素敵な人だ、僕の一番大切な人を連れていくことはできなかった・・・」

私は男からのメッセージを彼女に伝えた。

「私のことが大切なら、どうして一緒に生きてくれなかったの?
生きることができないなら、どうして一緒に死んでくれなかったの?
私なんか生きていたって、病気のせいで一人では何もできないのに・・・」

男はさらに悲しそうな色に変わった。
振動も弱くなりとぎれとぎれになった。

「本当は、2年前のあの日に死ぬつもりだった。
僕はダメな人間で、何をしても中途半端だ。2年頑張ったけど、生きてくことに耐えられなくなった。でも、君は違う。」
男のメッセージを彼女に伝える。
「何が違うというの?」

「君は、とても美しい、僕にとって太陽のような存在だ。
こんな美しい人を闇の世界へ連れていけない。
君は美しい、だから生きていてほしんだ・・・・」
男のエネルギーはとても弱くなった、そろそろ潮時が来たようだ。

「そんなの勝手だわ!!」
女性は興奮して叫んだ。

「ずっとそばにいる、幸せになって・・・」
私は男の最後の言葉を彼女に伝えた、同時に男のエネルギーが消え去るのを感じた。

 

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